失業保険の期間と受給要件について解説|失業保険の計算方法から定年退職後の失業保険までご紹介

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失業保険の受給要件について知りたい」「失業保険の期間や支給額について知りたい」と思っていませんか?

いざ自分が失業してしまった時のためにも、失業保険の受給要件や期間については詳しく把握しておきたいですよね。

そこで、この記事ではあなたに合った失業保険の受給要件と期間について失業者のタイプ別に紹介していきます。

この記事を最後まで読むことで、失業保険の受給要件と失業者のタイプ別の受給期間について分かります。ぜひ参考にしてくださいね。

失業保険の期間と受給要件

失業保険の基本手当が貰えるのは、「再就職への明確な意思があり、身体的にも精神的にも復職できる能力があるのにもかかわらず就職できない」人に限られます。

この「就職したいのに就職できない状態の失業者」のことを“完全失業者”と言います。この他にも、離職の日以前の2年間で合計12か月以上の被保険者期間があることが失業保険受給の基本的な条件です。

そのため、就職の意思がなかったり、怪我や妊娠・出産などで即時の就職が困難であったりする方には失業保険は適用されません。また、被保険者期間が2年間で12か月未満の人も、基本手当を受け取れないことになります。

ちなみに、基本手当の受給期間は失業保険の被保険者期間や離職時の年齢・離職理由によって変わってきます。

退職理由別の失業保険の適用期間

失業保険の適用期間は、退職理由によって異なります。

具体的には、完全失業者には以下の3つのタイプがあります。

  1. 自己都合退職をした人
  2. 会社の倒産や解雇によって失業した人
  3. 障がいなどを抱えている人

それでは、それぞれのタイプごとに基本手当の期間を見ていきましょう。

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1:自己都合退職である場合の失業保険の適用期間

自分の都合で退職した場合、年齢に関係なく、被保険者期間の長さによって基本手当の受給期間が変わってきます。

具体的には以下の表の通りです。

被保険者期間 10年未満 10年以上20円未満 20年以上
基本手当の受給期間 90日 120日 150日

このように、被保険者期間の長い人ほど基本手当を長く受けられる、つまり勤続年数が長い人の方が基本手当の受給期間が長いようです。

自己都合退職について以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。

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2:特定受給資格者である場合の失業保険の適用期間

会社の倒産や急な解雇等の理由によって失業した場合、被保険者期間の長さと年齢によって基本手当の受給期間が変わってきます。

具体的には以下の表の通りです。

被保険者期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
離職時の年齢 30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上
35歳未満
90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上
45歳未満
90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上
60歳未満
90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上
65歳未満
90日 150日 180日 210日 240日

※日数は基本手当の受給期間

このように、被保険者期間が長ければ長いほど、基本手当の受給期間が長くなります。

また、注目して欲しいのは、35歳以上から60歳未満の場合にはその他の年齢層と比べると受給期間が長くなることです。

この仕組みにより、中高年の急なリストラや会社の倒産による失業者を保護しているのです。

3:障がい者等の就職困難者である場合の失業保険の適用期間

障がい者等の就職困難者の場合、被保険者期間の長さと年齢によって基本手当の受給期間が変わってきます。

具体的には以下の表の通りです。

被保険者期間
1年未満 1年以上
離職時の年齢 45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日

※日数は基本手当の受給期間

このように、被保険者期間が長ければ長いほど、また離職時年齢が高ければ高いほど基本手当の受給期間が長くなります。

ちなみに、障がい者等に該当するのは以下のような人たちです。

  • 身体障がい者
  • 知的障がい者
  • 精神障がい者
  • 刑法によって保護観察下に置かれている者
  • 社会的事情で就職が困難な者

基本的に、障がい者等の就職困難者は就職や継続的な勤務が他の失業者よりも難しくなります。
そのため、このような障がい者保護のため、基本手当の受給期間がその他の失業者の場合よりも長くなっているのです。

そもそも失業保険とは何か

失業保険とは、失業保険の被保険者が生活の心配をすることなく、新しい就職先を見つけられるように支援する社会保険制度です。

失業保険には基本手当のほか、技能習得手当や傷病手当・寄宿手当に加え、状況に応じた給付金等が支給などがあります。

基本手当として受給できる1日あたりの金額は、”離職した日の直前の6か月間の給与の合計”を180で割って算出した金額の約50から80%です。ちなみに、年齢が高ければ高いほど割合が高くなる仕組みです。

この仕組みを念頭に置きながら、以下の表で年代別の基本手当の日当の上限額を見てみましょう。

離職時の年齢 一日あたりの最高受給額
30歳未満 6,815円
30歳以上
45歳未満
7,570円
45歳以上
60歳未満
8,330円
60歳以上
65歳未満
7,150円

このように、一番給与水準の高い45歳以上から60歳未満の中高年の限度額が高く、続いて30歳以上から45歳未満の中年の受給限度額が高いようです。

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高年齢求職者給付金について

失業保険には給付金制度があることは既に述べましたが、その中に65歳以上の被保険者を対象にした”高年齢求職者給付金”があります。

高年齢求職者給付金の給付要件は以下の3点です。

  1. 離職している者
  2. 就職の意思と能力はあるが就職できない者
  3. 離職前の1年間に被保険者期間が6ヶ月以上ある者

給付金額は一般的な失業手当の金額の算出方法と同じですが、受給期間は被保険者期間が1年未満で30日、1年以上で50日と短いことが特徴です。

日雇労働求職者給付金について

日雇い労働者(各日、ないしは30日以内の期間内で雇われている雇用者)を対象にした”日雇労働求職者給付金”もあります。

日雇労働求職者給付金の給付要件は以下の3点です。

  1. 適用区域内に居住し、適用事業に雇用
  2. 適用区域外に居住し、適用区域内の適用事業に雇用
  3. 適用区域外に居住し、適用区域外の適用事業で厚生労働大臣が指定した事業に雇用

この給付金は一般的な失業保険の制度とは異なり、公共職業安定所に行き、“その日の内に失業状態を認可された場合”にのみ受け取れます。

仕事のある日には事業主に日雇労働被保険者手帳を提出して、出勤するたびに雇用保険印紙を受け取ることが必要です。

給付額は雇用保険印紙の数によって決まるので、雇用保険印紙の受け取りが重要になってきます。

適用区域とは…特別区、もしくは公共職業安定所のある自治体のこと

失業保険の期間や受給要件に関してのQ&A

最後に、失業保険に関するQ&Aをまとめてみました。

失業保険に関しての疑問や不明点がある方は参考にしてみてください。

Q1:雇用保険の被保険者になる方法は?

適用事業において31日以上の雇用見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、原則として被保険者になります。

Q2:基本手当はすぐに支給されるの?

基本手当の受け取りのためには、離職票を提出し、求職の申し込みを行った日から7日間を”待期の期間”として待たなければなりません。

この待期期間が終わり次第、基本手当が支給されることになっています。これは法律上決められていることなので、例外はありません。

Q3:基本手当を不正受給した場合はどうなるの?

不正受給が発覚した場合、即時の給付停止とそれまでに受け取った額の基本手当の返済義務が生まれます。

悪質な場合には、給付額の2倍の返済や詐欺罪のかどで刑罰に処されます。

まとめ:失業保険の受給期間を把握して万が一に備えよう!

今回は、失業保険の要件と失業者のタイプ別の基本手当の受給期間について解説しました。

失業は生活していく上で常に考えておかなければならないリスクの内の1つです。

失業保険について事前に把握し、自分がいきなり上司からクビを宣告されたり、会社が倒産したりしてしまうリスクに備えておきましょう。

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